有識者

VUEVOは、円滑なコミュニケーションを越え「場」を創る

コスパと柔軟性が高く、現代の「働き方」に対応したシステム
一般社団法人 4Hearts
代表理事
那須 かおり様
1981年神戸市生まれ。2020年に聴覚と心理についての課題を地域や社会とともに解決していくことを目指す、一般社団法人4Heartsを設立。相手の事情を想像し、心のゆとりを持って繋がる『スローコミュニケーションプロジェクト』を提唱。聴覚だけでなく、視覚・発達・言語的マイノリティ・高齢者・子どもなど、情報コミュニケーションから誰ひとり取り残されないまちづくりに取り組んでいる。生まれつき重度聴覚障害。産業カウンセラー。

社会と当事者が、お互いの意識を変えていく必要がある

那須様のこれまでのご活動や、聴覚障害とのかかわりについて教えてください。

私は生まれつき全く耳が聞こえず、それが分かったのは4歳のときでした。そこから2年間言語訓練をして話せるようにはなりましたが、聞こえる人の世界にも聞こえない人の世界のどちらにもなかなか入れず、阻まれてきた経験があります。

聴覚障害の当事者は、今まで色んな事を諦め、社会への負い目もあって自分が前に出ていけないことも多く、困りごとを伝えることが難しいです。そして、そうやって目立ってしまうことを避けて社会の中に埋もれてしまうので、社会の側からは存在に気付かない。お互いがお互いの意識を変えないと越境していけないと考え、そのための活動をしています。

例えば家庭でも、ディナーテーブル症候群と呼びますが、聞こえない子供は聞こえる家族の中で孤立しがちです。これは社会に出て職場で孤立することとも地続きだと感じていて、どこかのタイミングで変えることが必要だと思っています。

VUEVOをお使いになった感想は、いかがでしたでしょうか?

まず、発言が色分けされていることで、誰がしゃべっているのか、視覚的にわかりやすいのがすごくいいと思いました。

聞こえない人はずっと読唇をしていることも多くて、誰が喋ってるのかわからず、口元を一生懸命探し回って、会話で疲弊する原因になっています。それが視覚で分かるというのはいいですね。

私は、プレゼンをする機会も多いのですが、「自分のプレゼンが終わったらフィードバックをもらって、それに5分間で答えなきゃいけない。」みたいな時には焦ってしまって、ちょっと聞かれてることとずれて回答しちゃうこともあります。そういう時には、やっぱりちゃんと視覚で確認したいんですよね。

聞こえない人でも営業に行ってほしい。

ビジネスの場面で、どのようにVUEVOは役立ちそうでしょうか?

まず職種に関わらず、会議の場面は絶対に役立つと思います。
自分とそれぞれの方の会話は成立するのですが、自分以外の聴者同士がわーっと喋り出すともう、わからなくなります。そういう時にでも、ちゃんと視覚で確認できるのはありがたいです。

あとは、聞こえない人でも営業に行ってほしい。難聴者はバックオフィス系がどうしても多いじゃないですか。
聴覚障害者ってどうしても職業の幅が狭く、ポジションも事務仕事や単純作業が多いのですが、こういうツールを使って色んな場面で出ていける、いろんな可能性が拓けるんだってことを、もっと社会にも当事者にも知って欲しいです。

営業に出ることで、お客様先で「あ、聞こえない人なんですね。」と、露出が生まれることでも、社会が変わっていくと思います。バックオフィスだけじゃなくて、どんどん外に出て、営業や企画段階から関わったり、そういった選択肢が増えていって欲しいと思いますね。

最後に、VUEVOへのご期待をお願いします。

コミュニティや場への参加のような、交流のきっかけになってほしいと思います。

いきつけの美容師さんに教えてもらったのですが、聴者同士だとお客様同士が仲良くなるらしいんですね。鏡を隔てて反対側のお客さんが、ワールドベースボールの話をしてる。「あ、私も実際昨日見たんですよ。」と会話が始まって、コミュニティができる。それを美容師さんはすごく大事にしたい。そこに入ってきてくれてないっていうのが、すごく気になるっていうふうにおっしゃってたんで。

なので、VUEVOはコミュニケーションを円滑にするというのを超えて、場を創るものなのかなと思います。

今まで「どうせ行ってもわからないしな」とあきらめていた、みんなが雑談していて、自分はそれを後ろから見てるだけというような状況。それが、全部その情報がみんなに平等に見えることで、機会の均等になるのかなと思うんですね。

私たちとしても、その一助になれればと思います。本日はありがとうございました。

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